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2015年11月、代官山LOOPにて開催された謎解きRPGアイドル・ラストクエスチョンさんのライブに、わたしたちN@ZO LAB.(ナゾラボ)が謎を仕掛けせていただきました。

果たして、彼女たちはすべての謎や暗号を解き明かし、無事にライブを行うことができたのでしょうか……?

その様子をあますところなく、レポートさせていただきます!

 

※このレポートは事実をもとに再構成しています。一部事実と異なる点がありますが、ご了承ください。

入場

2015年11月18日(水)夜18:30。小雨に濡れる代官山。ライブハウスLOOPの扉が静かに開かれた。

Mystery Music Festival Vol.3。通称MMF。

リアル脱出ゲームでおなじみの株式会社SCRAPが擁する謎解きRPGアイドル「ラストクエスチョン」による定期ライブの第3弾だ。

 

「ラスクエVS謎制作団体」と銘打たれたこの定期ライブ。体験型謎解きゲームを制作する「謎制作団体」がライブに謎を仕掛け、それにラストクエスチョンが本気で挑戦するという企画だ。もちろん、解き明かせなかった場合、彼女たちはペナルティを受けることになる……。

 

今回は「N@ZO LAB.(ナゾラボ)」による『サイレントルームから脱出せよ』。映画のようなストーリーと独創的なギミックが特徴の団体である。タイトルから、SCRAPが2012年に開催したリアル脱出ゲームオンライン(REGAME)の第2作『サイレントキューブからの脱出』のオマージュなのだろう。

フロアでは、徐々に増えはじめた観客がドリンク片手に開演を待っている。

スクリーンには「ESCAPE FROM SILENT ROOM」というロゴ。

静かに流れるBGMは懐かしのRPG(ロールプレイングゲーム)のサウンドトラックだろうか?

周囲を見回すと、ところどころ不自然なものがある。ステージ上部に吊るされた袋。壁にはラスクエメンバの描かれたボード。そして足元には謎の文字。

 

これらは謎解きで使われるのだろうか?フロアはざわざわと低い興奮に包まれていた。 密やかに鳴り響くBGMが徐々に大きくなり、耳をつんざかんばかりになる。そして、ゆっくりとステージが明転。

 

19:05。定刻から5分遅れる形で、ライブがスタートした。

開演

<動画 0:27〜>

ステージ上手より、ラスクエ4人(桃井美鈴【みっすー】、浅川琴音【こっちゃん】、南杏果【きょーちゃん】、安藤ひかる【ぽてこ】)が颯爽と登場する。

 

「「こんばんは! ラストクエスチョンです!」」

 

拍手に包まれるラスクエだが、なにやら違和感を禁じ得ないようだ。

 

桃井「だいぶ不穏な空気かもしだしてるけど(笑)」

浅川「ライブ盛り上がっていくぞ!」

 

観客全員が「おー!」と拳を高く振り上げる。 あっという間にライブハウスの雰囲気が出来上がっていく。

 

浅川「それでは、1曲目。『ぼうけんをしょ!』」

音楽がはじまり、照明が雰囲気を一変させる。 静かなイントロ。リズムに合わせ、ラスクエ4人がポーズを作っていく。 いつもどおりの、何の変哲のないライブ。 ドラムの4つ打ちを合図に、アップテンポな曲調に変わり、照明が鮮やかに明滅をはじめる。

「「オイッ! オイッ!」」

 

リズムに合わせ腕を振り上げながら、観客を煽るラスクエ。 それにこたえる観客だが、本来ならコールがあがるところで、不思議な笑いが生じる。

そうだ、これはただのライブではない。 MMF、謎解きライブなのだ。 どこかでなにかが起こるはず……。

 

……その時は唐突に訪れた。 イントロからAメロに入る直前、マイクの音はそのままに、BGMが突然停止。 同時に照明も落ち、代官山LOOPは暗闇に包まれた。

 

「「何っ? どうしたの?!」」

 

慌てふためくラストクエスチョン。 それをあざ笑うように、会場内に謎の声が響いた。

 

謎の声「フワッハッハッハッ! 愚かなるラストクエスチョンよ……。今宵もお前たちのライブの邪魔をしにきたぞ!」

 

ラストクエスチョンの宿敵、ワイ・ピカデリーの手下の声だ。 ラストクエスチョンもマイクで応戦するが、暗闇の中では手も足も出ない。

 

ワイ・ピカデリーの手下「今日の相手は……こいつらだ!」

その言葉を合図に、ステージ上に怪しい一群が走りこんできた。 暗闇の中、彼らのつけている赤青緑とピカピカ点滅するメガネが目立つ。 激しく奇声を上げながら、ラストクエスチョンに襲いかかっていく。 その数……5、6人だろうか? 全員、異なる色のカラーつなぎを着ている。 ギュイイインと電動ドリルの音が響く。 暗闇の中では何が起こっているのか、わからない。

「きゃああ!」

 

誰かの悲鳴が響く。

ステージ上が静かになった。 暗闇の中、静かに電子音のアルペジオが鳴りはじめる。 この曲は……SCRAP『サイレントキューブからの脱出』のメインテーマだ。

ゆっくりと照明が明かりを取り戻す。 ステージ上には、先ほどまでは影も形もなかった「サイレントルーム」が、その姿を現していた。

N@ZO LAB.

状況説明

<動画 2:35〜>

下手側に立ち尽くす南、浅川、安藤。 そして、仕切られた別空間……サイレントルームには桃井がひとり。

安藤「みっすー! みっすーは!?」

南「待って、待って! 落ち着いて!」

浅川「ちょっと待って! 処理できないから!」

 

戸惑うラストクエスチョンたちに割りこむように司会が登場し、状況説明をはじめる。

 

司会「さて。……どうやら、大変なことになってしまったようです。 あのワイ・ピカデリーが今回もラスクエライブの邪魔をしにきたようです。 卑劣な彼らは、桃井さんを『サイレントルーム』に監禁しました。 彼らの仕掛ける謎をすべて解き明かさないと 30分後に、彼女は……消えます」

 

ざわめく観客とラスクエ。 制限時間30分ですべての謎を解き明かせないと、桃井が消えてしまうというのだ。 ということは、必然的に……

 

司会「つまり、彼女が消えてしまった場合。 本日のライブは残された3人でやっていただくことになります!」

 

謎な盛り上がりをみせる客席をよそに、サイレントルームに関するルールが司会より告げられる。

・サイレントルームは、外部と遮断された空間である。

・サイレントルームの中にいる桃井は、いっさい音が聞こえなくなっている(ヘッドフォンで耳を塞がれる)。

・桃井を助けるには、彼女と協力して謎を解いていく必要がある。

・サイレントルーム内の桃井と意思疎通するためには「メッセージボード」を用いたコミュニケーションが必要となる。

・客席とラストクエスチョンメンバーのあいだでコミュニケーションをとることは問題ない(ただし、解答がわかっても、ラスクエメンバーに言葉で伝えるのはNG)。

神妙な面持ちで司会の説明に耳を傾ける3人。 観客とのコミュニケーションが可能ということでほっとしたようだ。

そして、開始の時が訪れる。

司会「それでは準備はよろしいでしょうか? 30分以内にすべての謎を解き明かし、サイレントルームから桃井さんを救い出してください!」

安藤「はい!」

間髪入れずに回答する安藤にツッコミを入れる南、浅川。

南「なに『はい!』って言ってるんですか?!」

浅川「そんな簡単に(心の)準備できないから!」

 

そんなふたりの抗議も虚しく、ゲームは開始された。 彼女が消えるまで、あと30分……。

STEP1:赤の問題

Outside

<動画 8:17〜>

まずは、サイレントルームの外にいる南、浅川、安藤のもとに「赤のバッグ」が渡される。 サイレントルームの内外ではお互いの様子を把握することができないため、手探り状態でのスタートだ。

赤のバッグから出てきたのはa〜cの3つの問題用紙と1枚の解答用紙だった。

観客に助けを求めながら解き進める南、浅川と、ひとりで黙々と問題に取り組む安藤。 ラスクエ随一の謎解き好きである安藤らしい、対照的な構図だ。

 

安藤「問題b解けました」

 

安藤からあがった平坦なつぶやきを受けて、客席から笑いが起こる。

まずは小手調べといった様子の3問。 ほどなく、すべての問題の解答が出揃った。

 

「赤の鍵は……黒いトランプだけ読めば開く!」

 

そのことを隔てられた壁の向こう、サイレントルームにいる桃井に届けなければいけない。そこで登場するのがメッセージボードだ。

 

メッセージボードには、3枚のワードタイルが貼り付け可能になっている。 それぞれは大きさが異なり、同じサイズのワードタイルしか貼り付けることはできない。これらを用いて、メッセージを作れば良いのだ。

  • メッセージボード:赤のカギを開くには[小][中][大]

  • メッセージタイル:

    • 小[赤い][箱の]

    • 中[トランプ][鍵穴]

    • 大[注目して][のぞけ]

 

しかし、一筋縄にはいかない。

 

浅川「ん? 『黒』なくない?」

安藤「『トランプ』はあるけど……」

 

そうなのだ。導き出された回答の文章を作ろうにも、肝心の「黒」というワードタイルが存在しないのだ。

戸惑う三人を尻目に、一足先にひらめいた客席からは「はぁあ」「なるほど」「良い問題だ!」といった声があがる。

 

浅川「えっ? なになに? もっかい問題を見直す?」

 

悩み始めた3人に向かって、観客の何人かがジェスチャで何かを訴えはじめた。腕を大きく広げ、指をくるくると回す。

 

浅川「逆? 逆にする? ……わかった! 『赤い』『トランプ』『のぞけ』だ!」

 

お見事。「黒」がないなら、「赤の逆」ということを伝えれば良い。 時間のロスを取り戻そうと、急いでメッセージパネルを貼り付ける3人。 無事、完成したメッセージボードは、観客の拍手を受けてサイレントルーム内に転送された。

Inside

桃井「みんなの声聞こえないから、一方的にしゃべるね! 『赤いカギを開くには、赤いトランプのぞけ』」

メッセージボードを受け取ったサイレントルーム内の桃井が、マイクでボードの内容を読み上げる。

 

浅川「わかるかなあ。『のぞけ』の意味、わかるかなあ」

 

ッセージボードが無事届いたことに安堵しつつも、その内容が理解できるか不安なルーム外の3人。

桃井「なんか、トランプあるんだけど!」

どうやら、サイレントルーム内にはトランプが飾られているようだ。 「赤いトランプのぞけ」の意味をすんなりと理解した桃井は、黒いトランプの数字に着目した。

 

桃井「……あれ?! これ『12』じゃないの?! スペードのQ(クイーン)がCになってる! 11、A、12、13……ってこと?」

 

考えこむ桃井。そのひとりごとはルーム外の三人にも届いている。 心配そうに桃井に声をかけるが、その声はサイレントルームの中の桃井には届かない。

 

ちなみにサイレントルーム内には、複数の錠がつけられた紐があった。その先は天井に伸びている。 その中にいま桃井が開けるべき赤の4桁の数字錠もあり、次のような紙が結ばれていた。

桃井「ジャーーーーック!」

 

突然、ひらめいた桃井が叫ぶ。客席からのジェスチャの支援もあり、解法に気がついたようだ。 導き出された解答を赤の4桁数字錠に入れる桃井。

 

桃井「開いた!」

 

客席から拍手がわき上がる。何が起こっているのかわからず、ぽかんとしているルーム外の3人。その頭上から、突然、青色のバッグが落ちてきた。どうやら新しい問題のようだ。

STEP2:青の問題

Outside

<動画 14:45〜>

青のバッグの中から出てきたのは、解答用紙、d、eの2つの問題用紙、半透明な円盤のパズル、マス目状にひらがなの書かれた正方形のボード、穴のあいたポリオミノのパーツ7枚……。 その量に圧倒される3人。 これは整理して取り組んでいかないと大変そうだ。

浅川「おとしあなはあるけど、読むべき順番がわからない!」

 

謎の指示文に書かれた「おとしあな」の文字が正方形のボードの中にあることに気がついた浅川。

 

一方の安藤は、またもや、たんたんと謎を解き進めている。

 

安藤「とりあえず、eの条件を伝えるね。『同じ色は隣り合わない』~」

 

早くも解けたようだ……。

そして、今回の青の問題を解いた先に作ることになる青のメッセージボード。計4枚のメッセージパネルを貼る必要がある。

安藤「めっちゃ増えてるよ!」

 

メッセージパネルは、赤の問題の時の6枚から追加され、一気に27枚に増量していた。

  • メッセージボード:青のカギは[小][中]で開く。[小][中]の順で読め。

  • メッセージタイル:

    • 小[箱の][青い][床の][次の][最後の][今日の][あなたの]

    • 中[鍵穴][サイコロ][目][日][言葉][火][水][カレンダー][パンツ]

    • 大[注目して][叫べ][曜日][歌え][でボケろ][脱いで]

 

浅川「うー、心が……心が『パンツ』『脱いで』ってやれって言ってる!」

南「こっちゃん! みっすーを助けるんだよ! なんでそうなっちゃうの!」

浅川「でも、だって! これをいま送ったら、みっすーはこのままやるよ! くそ! ぼくの心の中のワイ・ピカデリーが!」

 

閑話休題。謎解きに戻る3人。

 

浅川「たぶん、こっちの答えはタイルを埋めるための条件なんだと思うんだよね」

解答用紙の「パズルのルール」の意味を読み取ろうとする浅川。

そんな中でも、ひとりステージに這いつくばり、淡々と問題を解く安藤。

安藤「d読めました、『タイルにあいた穴は、縦横斜めにじゅう……』」

 

そのとき、突然、闇に包まれた。スクリーンに文字が浮かび上がる。 10分経過。残された時間は、あと20分……。

浅川「本気出していくので、ちょっと持っていてください」

 

タイルのパズルの条件を整理していく。 座り込み、ポリオミノパズルに取り組む3人。

 

安藤「おっ、いい感じだよ!」

南「……たぶん、いけたんじゃないかな?」

 

どうやらパズルが完成したようだ。 穴のあいた位置だけ、盤面のひらがなが読み取れる。

 

浅川「これを上から読むと……ん? でも意味の分からない言葉になる。『いあこおいさろ』?」

 

客席から即時にジェスチャーが出る。左から右に手を指を動かす。

 

浅川「ああ、左から読むのね。……『あおいさいころ』。青いサイコロ!」

 

ざわめく客席。 実は観客の多くは、すでに「青いサイコロ」が何を示しているのかわかっていたのだ。 そのざわめきの意味に気が付かず、苦悩する3人……。

 

浅川「床にあいた落とし穴の……? 読むべき順番?」

 

そこで浅川が気がついた。

 

浅川「あ、わかった! ちょっと待って! 踏んでる人! 手挙げて!」

 

フロアの観客の一部が、規則正しく並んでいた。

「ゆかにあいたおとしあな」というのは、フロアの床に貼られたたくさんのひらがなシールのことだった。 シールは全部で18枚。規則正しく並んでいる。それは3つの大きなサイコロを模していた。 ステージ上の3人よりいち早くそのことに気がついた観客は、その中にある「ゆかにあいたおとしあな」の11文字に対応するサイコロの目の上に立っていたのだ。

 

浅川「サイコロに見立てると、踏んでるところが塗られたと考えると、一番右は2! 真ん中は4! 一番右は5! なので、542!」

 

客席から拍手があがる。

 

浅川「でも、どうやって、542を伝えればいいんだ? 青いカギは青いサイコロで開く……『床の』があるよね?」

 

「床の」のワードに気がついたことで、メッセーボードが完成した。

伝えられた文言は「青いカギは青いサイコロで開く。床の目の順で読め」。

Inside

<動画 24:10〜>

観客によって床の上に浮かび上がったサイコロの目は、桃井からもすぐに読みとれた。観客から拍手があがる。

桃井「ここにあるサイコロがあかさたな表になってるんだよね」

桃井の目の前にあるのは、縦5個、横10個の色とりどりのサイコロ。

そう。桃井の言うように、これは五十音表になっているのだ。 これに先ほど読み取った青いサイコロの「542」を照らし合わせる。 いまだかつてみたことのない、敷き詰められたサイコロによる五十音表に、客席からも「なにが起きてるんだ……」「すげー!」と驚きの声があがる。

桃井「ニ……タ……セ……? これ『ニタセ』って言葉ができたから……さっきの赤の答に2を足せ! さっき4015だったから……4017!」

赤の鍵に「4017」を入力する桃井。しかし……鍵は開かない。何度もトライする桃井。しかし、無情にも鍵は開かない。

桃井「開かない……。4015に2を足すんだよね。だから、4017だよね。だよね? えっ、なんか違うの? 赤の答に2足せ。赤の答は4桁の数字……」

泣きそうな桃井の声が響く。観客は固唾を呑んで見守る。壁1枚隔てたところで祈るようにマイクを握りしめる浅川、南、安藤の表情も真剣だ。

桃井も思いつくままに、様々な思考を試してみる。

 

桃井「(赤の問題のアルファベットと数字の対応表を見ながら)ここに対応表がいっぱいあるんですけど。『に』(NI)だと63なんですよ。4015にNI=63を足すと……4078! ……違うー!」

 

客席から大きなため息が溢れる。やきもきする展開。観客も、残るラスクエ3人も、いまできることはなにもない。ただ、桃井を信じるだけだ……。

 

桃井「これを読む? あー! わからない!」

 

耐え切れなくなった客席からジェスチャーでヒントが出る。両手の人差し指を突き立てて、声なき声を届けようとする。

 

桃井「……11?」

 

その時、暗転。 残り時間、10分……。

明かりを取り戻したステージ上。サイレントルームの桃井の表情は暗転前とはうって変わって、満面の笑みに包まれていた。

 

桃井「わかった! そういうことか! JACKに2足せ……でKINGということか!」

 

KINGを赤の問題のアルファベット/数字の対応表で読み解くと「5362」。

 

桃井「あいた! あいたよ!」

 

無事に青の鍵が解錠。拍手に湧く代官山LOOP。 サイレントルームの外にいるラスクエ3人の頭上から、次のバッグ……黄色の問題が降ってきた。

STEP3:黄の問題

Outside

<動画 29:35〜>

鈍い音を立てて床に落ちた黄色いバッグ。その中からは大量のブロックが……。

 

安藤「立体ポリオミノきた!」

南「ポリオミノはもう1個あるよ!」

浅川「会場内から4つの絵を見つけだし~」

 

大量の情報に戸惑う3人。 中から出てきたのは、黄色の解答用紙、謎の指示文、f、gの2つの問題用紙、ロープがついた円盤、6個のブロック、そして大量のパズルのピース(実に66枚!)だった。

浅川が手にしたパネルに書かれていた指示は「フロア内に貼られた4枚の絵を見つけ出し、ピースを正しい位置に貼り付けて絵を完成させろ」。

 

ざわつく観客。会場内に貼られた4人のキャラクタが描かれた4枚のボードにうすうす気がついていたのだ。近くの観客がボードを外す。なんと、裏面には8×8のマス目が描かれており、ひらがなで埋め尽くされていた。

南「みんな、ひとりずつ取りに来て!」

 

パズルピースを客席に配る南と浅川。それぞれのパズルピースの裏には、宝箱や剣といった、RPGらしいアイテムのシルエットが1つずつ描かれている。よくみると、4枚のボードの裏のマス目には、ひと続きの形でそれぞれのアイテム名が隠されているようだ。「正しい位置」というのは、ピースのシルエットに対応する箇所に貼り付けろ、という意味だ。そのことに気がついた観客は、自主的に役割分担を開始し、声を上げる。さすが、謎解きRPGアイドルのファンたちである。

 

観客「指輪あるよ! 指輪!」

観客「マントの持ってるひと! マントのひと、こっちきて!」

 

会場内はさながら競りの会場のように嬌声(怒号)が飛び交う!

一方、ステージ上で黙々と小謎に取り組む安藤。

安藤「問題fできました! 『中心のブロックは14』」

 

しかし、熱狂の客席には届かない……。

 

全員の協力により、みるみる4枚のパズルが完成し、その真の姿を現していく。ものすごい速さだ。パネルは大玉送りの要領でステージ上に運ばれ、サイレントルームの奥の壁に掲げられる。2×2の形で貼られた4枚のボード。

 

観客「おーー!」

桃井「なにこれ? あっ。無敵スターでしょ? マリオの!」

 

完成したそれは無敵スターを形作っていた。

桃井「てゅてゅってゅーるてゅてゅってゅるーるー♪」

 

大興奮し、スーパーマリオブラザーズの無敵状態のBGMを歌いながら踊る桃井。その声は、マイクを通じて、サイレントルームの外の3人にも届く。

 

浅川「それ使って壁壊してもらって良いかな?!」

 

客席から湧く拍手。しかし、そのボケはサイレントルーム内の桃井には届かない

南も手こずっていた問題が解けたようだ。南が取り組んでいたのは、円盤に多数開けられた穴に、紐が通されているもの。紐を順ぐりに辿っていき、STARTからGOALまで文字を順番に読んでいくという、根気の必要な作業だ。

南「『同じ面の数字は同じ色』……?」

浅川「……なるほど! これ全部解けないと解けないんだ!」

浅川がひらめいた。解答用紙の問題f、g、hの解答を書き込む欄は「パズルのルール」という枠に囲まれている。すなわち、この3問を解くことで、立体パズルのヒントが導き出されるのだ。青の問題と同じ構造になっていることに気がついたら、あとははやい。

浅川「ルービックキューブみたいなこと?」

 

安藤がもう1問答えを導き出した。

 

安藤「『白は隠される』……だって」

 

その時、BGMが緊迫感のあるものに変わった。……彼女が消えるまで、あと三分。

 

桃井「三分前?! まだ鍵あいてないよ!」

 

客席からジェスチャーで残り時間3分と告げられた桃井が叫び声をあげる。

すべては立体パズルに取り組む、安藤にかかっている……。少しずつ、そして着実に立方体が完成していく。

 

客席から拍手があがる。立体パズルが完成したのだ。それを面の色を問題用紙の枠にあわせて置く。黄色の鍵……「1122」が得られた。

 

しかし、この4桁をどうやってサイレントルームにいる桃井に伝えるのか? ワードタイルには数字はない。この22枚のワードタイルで、桃井に「1122」を伝えるしかないのだ。

  • メッセージボード:黄のカギは[小][中][大]で開く。

  • メッセージタイル:

    • 小[箱の][次の][最後の][今日の][あなたの]

    • 中[鍵穴][日][言葉][火][水][カレンダー][パンツ]

    • 大[注目して][叫べ][曜日][歌え][でボケろ][脱いで]

 

浅川「あ! 『今日』! 今日はいつ? 11月18日?」

 

客席に問いかける浅川。ワードにあった「今日」からの発想だ。

客席から歓声が上がる。近い! この流れで、解答が得られそうだ。

残り時間は1分を切った。この場の全員が、手に汗を握っている。

安藤「1122? 今日の4日後?」

浅川「4日後なんて単語ないよ!」

 

焦る3人。時間がじわじわと消費されていく。

 

安藤「曜日? 次は……水木金土……日!」

南「次の日曜日!」

 

「曜日」というワードタイルに気がついた安藤。湧き上がる拍手。残り時間はあとわずか。メッセージボードがサイレントルームの桃井に届けられる。

Inside

<動画 38:30〜>

桃井「鍵は次の日曜日で開く?」

 

熱狂の観客の雰囲気も後押ししてか、桃井の思考が冴える。

 

桃井「今日は11月18日だから……1122!」

 

急いで鍵をあける桃井。無事解錠され、ルームの外では黒のバッグが落ちてきた。

 

しかし、無情にも残り時間は10秒。カウントダウンが開始される。大慌てで黒のバッグの中身を取り出す浅川、南、安藤。

……3、2、1、0。

 

照明が落ち、サイレンが鳴り響く。スクリーンに浮かび上がる「GAME OVER」の文字。残念ながら、タイムアップ。……ゲームオーバー。

GAME OVER?

<動画 38:55〜

打ちひしがれる3人に向かって、司会が語りかける。

 

司会「まもなく、サイレントルームにいる桃井さんは……消滅します」

 

サイレントルームの中の桃井は、耳が聞こえないため、状況が把握できていない。きょとんとした表情で、悔しがる観客を見つめている。

 

しかし、何か変だ。会場の観客の中には気がついたひともいるようだ。スクリーンに浮かぶゲームオーバー画面。……そこにある「CONTINUE」の選択肢!

 

司会「ただし、救済策も存在します!」

南「なに?救済策?」

 

司会がにやりと笑う。スクリーンに浮かぶ「CONTINUE」の文字を示しながら、続ける。

 

司会「1万円いただければ、コンティニューができます。どうしますか?」

 

拍手があがる客席。ここにきて……リアル課金ゲーム! 顔を見合わせ、困惑するラストクエスチョン。いったい、彼女たちはどのような決断をするのか?

謎の男性「通してくれ!」

 

その時、会場後方より、ひとりの男性がステージに向かって突進してきた。その手に握られているのは……財布!

 

浅川「マネージャーさん!」

 

浅川が叫ぶ。その男性こそ、ラストクエスチョンマネージャー氏。

マネージャー氏は、そのままステージ上にあがると、大きく腕を伸ばし、おのれの財布から取り出した1万円札を司会に突き出す。

 

司会「1万円いただきました! それでは、コンティニュー!」

 

涙を浮かべるラスクエ。客席のボルテージも最高潮だ。拍手に包まれた会場に光が戻る。

 

マネージャー「お前ら! 絶対解けよ!」

STEP4:黒の問題

Outside

<動画 40:20〜>

ゲームオーバー直前に落ちてきた黒いバッグの中のカードが読み上げられる。

 

南「サイレントルームに隠された『最後の言葉』。全員で手を大きく振りながらそれを唱えろ。その時、彼女は救われる」

 

一方、サイレントルーム内の桃井は、鍵を開けたことで、箱の中に入っていたブラックライトを手にしていた。黄色の鍵は、紐につながっているだけではなく、箱を封じてもいたのだ。

一緒に出てきた紙の怪しい空白部分をブラックライトで照らすと、「絵の中にある」という言葉が浮かび上がってきた。黒のカギは絵の中にある……。桃井が無敵スターにブラックライトをかざすと、大きく3つの文字が浮かび上がった。

 

桃井「これで照らすとね、『ムテキ』って出るの! 黒のカギは『ムテキ』だって」

 

黒のカギ……数字3桁錠は、サイレントルームの中にある黒い箱を封じている。

 

桃井「ムテキを数字にするの?」

 

一方、サイレントルームの外の3人もどんなメッセージを送れば良いのか考えている。

  • メッセージボード:LAST QUESTION[小][中][大]

  • メッセージタイル:

    • 小[箱の][最後の][今日の][あなたの]

    • 中[鍵穴][言葉][火][水][カレンダー][パンツ]

    • 大[注目して][叫べ][歌え][でボケろ][脱いで]

 

南「『最後の』『言葉』?」

浅川「でも『サイレントルームに隠された』だから、サイレントルームにあるんだよね。『探せ』じゃない? ……ないから、『叫べ』で良いのかな?」

 

メッセージボードが桃井の元に届く。

 

桃井「『LAST QUESTION 最後の言葉叫べ』? ちょっととととと」

意味をはかりかねる桃井。そんな桃井だが「ムテキ」の意味に気づいたようだ。

 

桃井「ダイス50音表と対応させると……415!」

再度登場のダイス50音表。「ム」「テ」「キ」……黄色のダイスで示された数字415を入力することで、黒の箱が開いた。その中から出てきたのは、レトロ(?)なカメラだった。

桃井「このカメラはみえない真実を映す。ファインダーを覗き、最後の言葉を見つけろ!」

カメラを構え、ファインダーを覗く桃井。ファインダー越しに観客をみて、そしてサイレントルーム内をみる……。

<動画 43:00〜

桃井「あー!」

サイレントルームの奥の壁に貼られた6枚の黒いパネル。ファインダー越しに覗くと、黒いパネルは、ただの黒いパネルではなかった。そこに浮かび上がった文字は……。

 

桃井「出た! 最後の言葉は『ココニイルヨ』だったよ!」

 

桃井の叫びを受けて、サイレントルームの外の浅川が応える。

 

浅川「オッケー! ではみんな手を振りながら……」

 

手を振る観客。呼応するように、音は聞こえていないが、手を振るサイレントルーム内の桃井。司会、スタッフを含め、フロア中の全員が手を振る。強烈な一体感。

 

浅川「……せーのっ」

 

浅川の合図に合わせて、全員が叫ぶ!

 

「「「ココニイルヨ!」」」

暗転。うわんうわんと「ココニイルヨ」という叫びがリフレインする。そして、暗闇の中、サイレントルームが消滅していく……

解放された桃井の元に駆け寄る3人。拍手に包まれる中、抱き合うラストクエスチョン。あたたかな拍手に包み込まれる。

 

南「みっすー!良かったー!」

桃井「みんなの声がやっと聞こえる……」

 

思わず涙を浮かべる安藤。

 

「「「やったー!」」」

 

ラストクエスチョンの4人は、サイレントルームの内と外で分断されながらも、すべての謎や暗号を解き明かし、サイレントルームを消滅させ、桃井救出に成功した!

アイドルがステージ上で謎を解く様子を大勢の観客が見守るというユニークなイベントでしたが、いかがだったでしょうか?

 

自分自身が謎を解いているわけではないけれど、手に汗を握りしめて、一緒に悩んだり、時にはやきもきしながら、思わず叫んでしまったり、悔しがったり、鍵が開いて本当に嬉しかったり……普段のライブとはまた異なる、ステージと観客の一体感が得られたように感じています。これが新しい体験としてみなさんの記憶に残るようであれば、とても嬉しいです。

 

ちなみに、その後のライブパートは、彼女たち自身がつかみとった4人体制で無事に行われました。観客一体となった熱いパフォーマンスは、ともに試練を乗り越えた仲間として、よりいっそうの盛り上がりがあったように感じられました。

脱出成功後のインタビュー解説

<動画 43:40〜>

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